辨太郎日誌

特許・商標・意匠・著作権などなど知財を絡めて

米国ローファームの外注先インドの代理人

マイナーなトラブルというものはつきものなのだが、今回のトラブルはちょっと経験したことがないので書き留めて置くことにする。

 

インドの代理人からの手続きの依頼があったのだが、必要な書類をリクエストしても全く的を得ない。

何度かコレポンをしているうちに、インドの代理人に依頼しているのが出願人ではなく、アメリカの弁護士であることがわかった。

こちらから情報をそのままアメリカの代理人に伝えているらしいことはわかったが、そこからの反応が全く的外れ。

トラブルの原因がインド側にあるのか、アメリカ側にあるのか、こちらでは分からないが、インドの代理人からの返信は、トラブル解消のための手続きを進めてくれという内容ばかり。

そんなコレポンを一月以上続けて、結局、何の進展もなく期限を迎えることになった。

 

特許庁に対する手続きはどこの国も制度化されていて厳格な手続きを採ることは、インドも例外ではないだろう。

しかし、ここまで杜撰な対応をしている理由を想像するに、インド側で最終責任を負いたくない、つまり、日本の代理人に対して常に手続きを依頼し続けたという証を残したいのではないかと勘ぐってしまうのである。

もしそうだとすると、依頼をしたにもかかわらず、手続きをしなかった日本の代理人に責任があるということになってしまうのだが。

そんなことを考えながら、今日のメールには、こちらが要求した資料が何ら提供されない状態で、これ以上の手続きを進めることができない旨を、はっきり主張した。

これまでもそうであったように、そんなメールに対しても手続きを進めてくれという、回答がくるのだろう。

 

EMSラベルの電子化

これまで手書きだったEMSラベルが電子化されている。

前回の台湾宛EMSはラベル作成ソフトがうまく機能せずに手書きだったが今回は成功。

EMSが嫌だった理由の一つがラベルの手書き。

クーリエだったら住職録から発送先を読み出して印刷するだけにも関わらず、

EMSは手書きだった。

米国以外は今のところ手書きでもOKだが、いずれすべての国で手書きラベルは受け付けなくなるだろう。

このEMSラベルのよいところは、予めラベルデータを作成しておき、郵便局でラベルを印刷できること。

これまでラベルを手書きしていたが、こんな汚い字で現地で読めるのかと不安だったが、これなら安心。

アマゾンマーケットプレイスの模倣品対策

アマゾンのマーケットプレイスが始まってから、中国から商品が送られてくることが増えたなあと思う。

最近のEMSは、中国発送なら一週間もあれば日本に商品が到着することもあって、ますます中国発送に拍車をかけている。

そこで問題なのが、商標権侵害などの模倣品である。

アマゾンを利用する人は、模倣品を積極的に買うというより、知らない間に模倣品を買ってしまっていることが多い。

 

日本で商標権が登録されて中国では商標権が登録されていない場合を考えてみる。

この場合、日本で商標が付された商品を許諾なく販売すれば商標権侵害になる。

中国で商標を付された商品を販売しても中国国内では侵害にはならない。

同じ商品でも製造・販売する国が異なるだけで、侵害にも非侵害にもなるのだが、この感覚は解りにくいと思う。

中国で製造された非侵害品を日本に輸入すると、日本の商標権の効力が及び本来であれば通関できないのだが、個人使用のための輸入であれば通関は開放される。

 

ようやく日本でも法改正が検討され、そろそろ中国から日本に発送される個人宛ての侵害品が通関できなくなるようだが、おそらくは知りながら輸入する行為が禁止されるだけだろう。

そうなると、ほとんどのアマゾン利用者は、侵害品であることを知らないで商品を買うわけなので、今回の法改正もザルということになる。

模倣品は上流で対策するほど効果が大きいので、ここはやはり中国から発送できないようにするための対策をとるしかない。

とは言っても現在のところ、これだという対策はないのだが、あるとすれば、中国でも商標を登録しておくことであろう。

中国の登録商標があるという効果は、中国で製造販売する行為の抑止力にはなる。

いままでのように、日本にしか商標権がない状態では、中国での製造販売は合法なわけだから、そこにくさびを打ち込むのである。

日本のアマゾンも、中国で製造された商品自体がすでに商標権侵害品であり、侵害品をマーケットプレイスで扱うということについて、アマゾンも黙っているわけにはいかないだろう。

模倣品対策で、今できること、それは、日本プラス中国の商標登録。

仮想通貨口座を開設してみた

経済を勉強するには株を始めるのが一番だと、むかし言われたことがある。

バブルのその当時、経済は右肩上がりが常識で、しかも日本は経済優等生。

なので経済にそれほど興味があるというわけではなかった。

バブルが弾け経済問題が深刻になると同時に経済にも興味をもつようになった。

為替が経済に影響を与えるということで為替相場にも興味をもつようになった。

そしてそのとき証券口座とFX口座を開設して実際に運用してみた。

 

これと同じ感覚で今回は仮想通貨口座を開設してみた。

仮想通貨についてはブロックチェーン技術を使用しているということで技術的に興味はあったが、それだけでは昨今の仮想通貨の動きを理解することはできず、実際に運用してみるのが一番効果的。

 

初めての口座はコインチェックで開設。

仮想通貨はいくつかの口座を開設してリスク分散した方が良いらしいが、そのうちコインチェックはほとんどの人が開設する口座らしい。

 

コインチェック口座を開設してみて感じたのはアルトコインの多さ。

ビットコインリップルモナコインしか知らなかったが、それ以外にもIOSTやEHTなど、多くのアルトコインの存在を知った。

 

仮想通貨のチャートを見ていると、ボラティリティの大きさに感心する。

毎日のように10%程度は動く。

すべての仮想通貨が同じように動くのだが、全てのコインが同じベクトルで動いているわけではないのも面白い。

また株式が動く理由は後付けとはいえ、ある程度の説明がつく。

しかし仮想通貨の動きは説明がつかない。

押し目があるなどテクニカルな動きは説明がつくが、なぜ今日、突然に10%も動くのかという理由が自分にはわからない。

 

実際に買っていないコインの値動きはいい加減なチェックだが、実際に買ったコインの値動きには敏感になる。

 

FXをやめた理由は高スワップの罠に気がついたからだったが、仮想通貨もFXのようにオワコンになるのか、それともポスト官製通貨になるのか。

仮想通貨の将来は全く未知だが、知っておかなければならない世界ではある。

 

コインチェック

 

 

 

 

 

 

商標が機能しない日本酒

日本酒選びが難しいのは同じブランドにも関われず、製造年によって、同じ製造年でも桶によって、同じ桶でも店によって、味が変わってしまうところ。

水、米、空気、そして杜氏によって味が変わるのが日本酒。

 

商標には品質保証機能というものがあるのだが、それはつまり、このブランドの日本酒を以前に買って美味しかったから、今回もこのブランドの日本酒を買えば、再び美味しい酒が飲めるという期待である。

しかし、この期待は日本酒については見事に裏切られるのである。

 

前回美味しかったから、今回も美味しいということは、日本酒の世界ではありえないと言ってもいい。

ただしこれには例外がある。

製造工程が管理されているところ、つまり大手メーカーは味が均一である。

 

いろんなブランドを試してみてたどり着いたのが菊水原酒。

いつ買っても、どこで買っても、当たり前だけど同じ味。

期待を裏切らない。

技術的に優れているからと言って成功しないのは仮想通貨の世界も同じ

リブラが頓挫している。

ビットコインボラティリティリスクを研究してデザインされたリブラという通貨。

ちょっと気になるのが一民間企業であるFBが管理するという人為的な取り決めだが、それ以外は技術的にもビットコインをはるかに凌駕している。

世の中、数え切れないアルトコインが発行されているのに、なぜリブラが発行に至らないのかと言えば、あまりにもできすぎているから。

逆に言えば、現在、発行されている仮想通貨は致命的な欠点があり、既存政府の通貨主権を脅かす存在にはなりえないと見られている証左だろう。

リブラの教訓を生かすとすれば、次に発行される新規仮想通貨は、あえて欠点がある通貨ということになる。

爆発的な普及の恐れが当局の逆鱗に触れたのなら、PAYPAYのように0から開拓していく方法を採ればよい。

とにかく目立たないようにデビューし、気がついたらデファクトスタンダードになっていたという戦略が正しい。

良い技術が普及するとは限らないのはこの世の常。

日本でもファイル共有ソフトに絡む技術が著作権侵害を理由に規制されている。

これなんかは自国の技術を自国政府が潰してしまった例だが、日本初のOSと言われたトロンは米国による横槍が入ったという話もある。

リブラの場合は米国のIT産業なので米国政府が守ると思うかもしれないが、米国が最も大事にしている世界の基軸通貨の地位が脅かされると判断したのだろう。

暗号資産は弁理士と親和性が高い

ビットコインのバブルが再来している。

これだけ急騰すれば投資先として興味を持つ人が増えるのも当然なのだが、暗号資産と聞いて弁理士が想起するのは暗号資産を支えている技術だろう。

暗号化やブロックチェーンに分散台帳化にスタビリティにフォーク。

これらの要素技術は、暗号資産が登場する前からすでに何らかの形で接している弁理士は多い。

暗号資産で使われている技術も、通信やコンピュータの発明に接していれば、これまで書いてきた特許明細書を思い出しながら、なるほどと理解できるものが多い。

スタビリティやフォークなどはパケット通信や、バイパス演算を思い出す。

スマートコントラクト技術も、ちょうどビジネスモデル発明が出始めたときに似ている。

これまで人手が行っていた処理をコンピュータ資源を介して行うのがビジネスモデル発明と特許庁が定義しており、ビジネスモデル発明が出始めた当時は、最終処理が課金であることが多かった。

スマートコントラクトも言葉が表しているように、単なる人為的な取り決めに過ぎなかったコントラクトをスマート技術であるブロックチェーンを利用して行うものであり、最終処理は決済である点でビジネス発明のそれと似ている。

 

新しいアルトコインがでるとき、どのような要素技術が使われているのかという視点でチェックしているのだが、高い技術力があるからと言ってそれが普及するとは限らないのは、VHSとベータ戦争のように、暗号資産も同じだろう。

現在のところビットコインが暗号資産のデファクトスタンダードだが、技術はすぐに代替されてしまう。

ビットコインが10年後にも存在しているとは限らない。

 

海外決済で暗号資産を使う日も近い

海外送金が年々厳しくなってくる。

ここ一ヶ月ですでに2度も外国からの送金がストップしている。

1回の決済額も1000ドルや2000ドルにもかかわらず、マネーロンダリング対策と称してやたらと行内ルールを厳しくしているようだ。

一昨年だったか、UAEからの送金を受けるときには、なんと個人あての外国送金はできないとまで言われる始末。

法人口座があったから良かったものの、特許事務所のほとんどが個人事業であるのは日本だけではないはず。

銀行経由の海外決済が足かせになるならBTCという手もある。

日本以上に暗号資産決算が盛んな米国とかだったら始めやすいかもしれない。

SquareSpaceに続いて最近ではPayPalも暗号資産による決済に対応しているようだから、海外決済はBTCというのが特許業界のスタンダードプロトコルになる日も近いかもしれない。