辨太郎日誌

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弁理士に守秘義務が課されている理由を「ゆっくり茶番劇」事件から考えてみる

「ゆっくり茶番劇」事件で、弁理士として気になるのは、出願代理人弁理士が出した声明の内容.

news.yahoo.co.jp

世間を騒がせるような事件に対して弁護士が声明を出すことは珍しくない.

一方、トラブルの当事者代理人になることが少ないこともあって、弁理士が声明を出すというのは極めて珍しい.

 

ちょうど同じ時期に給付金の不返還について弁護士が声明を出している.

www.47news.jp

 

商標出願代理人弁理士の声明と比較して何が違うのかと言えば、弁護士の声明は依頼者側の代弁をしているのに対して、弁理士の声明は、果たして依頼者側に立っているのか?ということである.

 

今回の弁理士の声明に対して世間一般では好意的に受け取られている.

しかし代理人として振る舞うのであれば、給付金弁護士のような内容になり、それに対して世間から総スカンされても職業上仕方がない.

 

100%依頼者の利益のために尽くすのが職業代理人であり、そのために依頼者の不利益になることについて口外しないという守秘義務が課されているのである.

依頼者の代理人が依頼者以外の正義のために依頼者の不利益になるようなことを口外してしまうのであれば職業代理人は務まらない.

 

爆破予告等、弁理士の精神状態も通常ではなかっただろうし、早くこの騒ぎを収束させたいという思いから声明を出したのだろう.

代理人になるということの責任について考えさせられた今回の商標騒動だった.

 

インドからの依頼が中国を超えた

昨晩、チャットでインド代理人からの依頼が入った.

移行期限間際で今朝手続きを完了させた.

 

ここの代理人は去年から取引が始まり、今年になって立て続けに依頼を頂いている.

ほとんどの案件は現地の法律事務所や特許事務所からの依頼になるのだが、これまでのコレポンからコンサルティング会社だろうということが想像できる.

法律事務所等からのコレポンと違ってメールの署名が不十分だったりと若干リーガルな部分が気になる.

しかし、こここのエージェントは先払いなのが嬉しい.

未払い金の管理は精神的にも悪く、何度リマインダーを送っても返事がないところもあるエージェントに比べれば、多少のイレギュラーなコレポンは帳消しになる.

 

中国からの依頼が圧倒的に多かったのだが、一昨年あたりからインドとの取引がはじまり、今年は過半数がインド案件になった.

ジュガールが話題になるインド人、たしかに中国人よりも強力である.

国際会議では、インド人を黙らせることと、日本人を喋らせることが、議長の腕の見せ所と言われるように、インド案件の要求はときに滅入ることもある.

老洋机とお別れ

上海から静岡に戻ってきたときに買った事務机.

和洋折衷の雰囲気が気に入って神戸から取り寄せたもの.

なんでも神戸の洋館の蔵出しだとか.

上海フランス租界エリアには雰囲気のよい喫茶店があり、こんな感じのテーブルでノマドワークをするのが好きだった.

 

この机、一度、設置したら微塵も動かないような重量と、かなりの床面積を専有してしまう.

このまま使い続けたいのだが、ここは思い切って断捨離することにした.

 

机を搬出するときに転がり落ちたコイン.

見ると昭和42年製造の100円玉だった.

 

粗大ごみにならず、次の主が見つかってよかった.

 

インド代理人から深夜のチャット

23時、そろそろ寝ようかと思ったときチャットにメッセージが入った.

 

こんな時間にメールではなくチャットを送ってくるからには何かトラブルがあったのだろうか.

恐る恐るチャットを見てみると、明日中に出願して欲しいという内容が目に入った.

WIPOで書誌情報を確認してみると、明日が移行期限の案件.

 

外内案件は至急がつきものだが、期限一日前の依頼というのはそうなにあるものではない.

今日は午後からのアポイントだけなのが幸い.

先程、書類のセットが終わった.

 

寝る前のビジネスチャットというのは今回に限らないのだが、これをやってしまうと頭が完全に仕事モードになってしまい、寝ることができなくなってしまう.

 

現地のオフィスアワーは日本の深夜.

極東にある日本は外内案件で時差のハンディを受けてしまう.

 

この仕事を初めて間もないころ、OA対応で冷や汗を書いたことがあった.

現地代理人が夏休みに入ってしまい連絡が取れなくなってしまったのである.

今と違って携帯電話もなく、メールでのコレポンもない時代.

何度もレターを書いて、FAXを送るという作業を鬼のように繰り返した.

リマインダーを送るたびに国際電話料金が発生するというのは今の通信環境からは考えられない.

 

チャットでリアルタイムかつ無料のコレポンができる環境というのは当時を知っている身としては天国と地獄の違いである.

事務所のカスペルスキー

数日前から更新期限のポップアップが忙しなく表示されるカスペルスキー.

何事もなければ更新を躊躇う理由はないのだが、今回はカスペルスキーの出自を知ってしまった以上、更新するという選択肢は難しい.

これまでウイルスソフトがどこの国のものかを調べたことはなく、カスペルスキーがロシア製ということも今回の事件で初めて知った.

nordot.app

いままで考えたことはないが、ウイルスソフトがどれほど効果があるのかという検証は難しい.

バックグランドで情報を放出していてもわからないだろう.

ウイルスソフトの必要性については、マシン自体がウイルス対策をするようになってから、低くなっている.

 

個人が反旗を翻す方法の一つとして更新は見送ることになるだろう.

ラマダンは期限徒過の理由になるのだろうか

昨日、インドの代理人に送ったリマインダに対する返事を読んで口元が緩んでしまった.

 

回答が遅れてしまい申し訳ない

クライアントがラマダン中で連絡を取ることができない

とりあえず手続きを進めてくれ

というのがメールの内容だった.

 

遅れた理由をあえて書いてくるところに担当者の人柄のようなものを感じる.

 

他の代理人の前回の期限徒過に対する理由はコロナウイルスだったのだが、

これは特許庁も認めている正当な理由.

コロナ、と書けば、特にそれを立証する証拠の提出までは求めていない.

 

ラマダンはどう扱われるのか気になる.

もし証拠を出すとすれば、

該当期間がラマダン中であることを示さなければならないだろう.

今年のラマダンを調べてみると、

4月2日頃に始まるようだ.

 

たしかに、応答期限はラマダン中だが、特許庁が書面を発行したのはラマダンのはるか前だから、これは理由としては弱そうだ.

 

いざとなったら使える理由は何でも使うことになるのだが、

今回の応答期限は落とさずに済みそうだ.

 

署名用のボールペンを新調

特許庁へ提出する委任状は押印不要になり、押印文化がない外国企業からもらう委任状にも署名が不要になった.

ところが日々の生活では至るところで署名を求められる.

署名を要求されれば従うしかないのだが、問題はそのときに使うペン.

 

消毒済みペンを用意しているところもあるのが、ほとんどが使いまわし.

平常時なら気にしないことでも、消毒の習慣が数年も続くと、使いまわしのペンを使うの躊躇う.

 

普段、外国代理人に送るレターの署名には万年筆を使うが、外出時の簡易な署名には少し大袈裟.

オフィスを見回したが適当なボールペンがないことに気がつく.

ペンで何かを書くという作業がないに等しく、アイデア出しに使う落書きレベルの筆記は鉛筆を使っている.

 

機能よりデザイン優先で選んでみた.

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どれも同じようなボールペンでは使いたいというモチベーションに欠けるが、これなら署名したいという気がする.

早速、EMSを出すときに署名してみたところ、小型で軽いということもあり、ササッとペンを動かすには丁度よかった.

 

デザイン買いしたペンケース

ペンケースを買い替えてみた.

いま使っているモノが壊れたわけではなく、ただ単にデザインに惚れたというのが理由.

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ペンケースという機能を満たすための形状はほぼ決め打ちされているから、結果としてどれも同じようなデザインにならざるを得ない.

開口部をファスナーで封じるボックス型が一般的.

 

これはこれでいいのだが、ファスナーという道具を使わないロール型のペンケースが好きということもあり、今回買ったものもロール型.

ロール型のペンケースと言えば、内部のポケットにペンを収容するタイプが典型的な構造.

ボックス型のように収容部をきっちりと区画し難いでから、巻いたときにペンが落ちないようにポケットにペンを収容せざるを得ない.

 

ところが、このペンケース、内部はボックス型のペンケースと同じような収納空間が設けられている.

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両側の仕切りと下端とで収納空間を形成.

この状態で巻くと上端が被さって見事ペンを零さずに収納できるという構造.

 

革製品の品質といえば、なめしやコバ仕上げなど細部の作り込みで評価されるのが一般的.

ノーブランドでは差別化が難しく、結局、商標を付けて差別化をしているというのがほとんどだろう.

穿った見方をすれば、商標があるかないかの違いだけで品質自体はどれも高いレベルにあるということになる.

 

今回買ったペンケースは、従来基準の品質に問題はないのは当然、その構造で差別化したという知財のお手本のような製品.

 

一体どんな人が創ったのだろうと思い調べてみると、どうやら建築士の設計らしい.

道理で計算尽くされた構造なわけである.

当然、意匠登録もあるのだろうと思い調べてみたが、それは見つけられなかった.

 

エムピウというブランド名であることをあとで知ったのだが、エムピウ製品の旗艦製品は財布らしい.

財布もなかなか計算し尽くされた設計だが、想定年齢から外れているように思うのでそちらは眺めるだけにしておく.