押印なしの委任状はやり過ぎ

特許庁に提出する書類の押印廃止は歓迎したいのですが、これに委任状も含まれるとなるととても違和感があります。

出願時に委任状が要らなくなったときもとても驚いたことを覚えていますが、提出する委任状に押印が不要となると、そんなので委任状の機能があるの?と思ってしまいます。

 

そんないい加減?な委任状でも提出は原本が求められます。

スキャンコピーでは駄目なのですが、これは如何なる理由なのか?

 

委任状への押印を不要にした理由として、

Q2-4. 委任状の記載事項は、委任者の個人名・代表者名も含めて、全て印字(タイプ印字を含む)でよいことになったということか。

A2-4. 委任状は、委任者と受任者の間の合意の下、作成されるべきものであり、かつ、代理人が自己の責任において提出することになるため、特許庁は、これを真正な委任状として受理することになります。

偽造された委任状が提出されても特許庁は関与しません、というわけです。

それなら委任状制度自体が要らないでしょう、と突っ込みたくなるわけです。

 

押印廃止に伴い、外国人の署名も不要となりましたが、署名がない委任状というものを外国人が理解できるのだろうか、と思ってしまいます。

Q2-5. 押印(外国人(外国に住む日本人を含む)の場合は署名)の無い委任状は、どのように原本確認をするのか。

A2-5. 代理人が提出する委任状は、委任者と受任者の間で合意し、作成されたものとして、疑義がない限り、真正な委任状として取り扱います。

押印が不要となるのも段階的で、令和3年6月12日までは押印が要る委任状や要らない委任状が混在しているという現場泣かせな状態でした。

 

すべての委任状に押印が要らなくなったと思っていたら、国際出願関係は対象外という一文を見て発狂しそうになりました。

委任事項には、国際出願に関する手続きも記載しているので、押印不要にしたければ、この一文を記載できず、かと言ってこの一文がなければ、国際出願があった場合は再度委任状をもらわなければなりません。

 

当事者同士の契約の信憑性という側面からみると、すべての手続きには委任状が欲しく、しかも押印は必ず、と思っています。

現在において委任状が必要な手続きというのは、不利益行為を伴う手続きです。

大事な手続きを押印なしの委任状で実施して、あとでトラブルになったときに、その矢面に立たされるのは代理人です。

そんな手続きを頼んだ覚えはない、と言われたとき、押印がある委任状があればすぐに反証できるますが、押印がない委任状では、偽造の可能性を払拭できません。

 

そしてもうひとつは本人確認の厳格化です。

押印を廃止して簡素化できる手続きと、その真逆の手続きが増えてしまいました。

押印が必要な書類については、実印+印鑑証明という最も面倒な本人確認方式の採用です。

 

印鑑証明制度がない外国人は署名でよいとなっていたりで、これは内国民に対する手続きの不平等です。

 

個人的には、全ての書類に押印を貰いたいのですが、依頼者の負担を考えると、そうも言っていられません。

あの事務所ではそんな書類は求められなかったと言われたときに、知らずに書類を求めたのか、それとも知っていながら、それでも書類を求めたのかでは、大きな違いだからです。