部品を積算して完成品の大凡の価格が決まるのだから、
完成品より部品の価格が高いということなどありえないはず.
先日、クルマの買取査定を頼んだら、
10万円という査定額を提示してきたところがありました.
それが30年前のクルマと聞けば、そんなの当たり前というかもしれません.
すでに純正部品の製造も終了しているこのクルマはマニアの間では人気があり、
故障した場合の部品の入手は容易ではありません.
部品確保のために部品取り用の車両を用意している猛者もいます.
10万円の価値しかない完成品であっても部品の価値はそれ以上.
特許権侵害における損害賠償額の算定基準の一つに侵害品の価格を考慮する方法があります.
侵害品の算定額を高くするために、部品よりも完成品で権利を特定するというテクニカルなこともやっています.
しかし特殊な環境では、完成品よりも部品の価格の方が高くなる.
こういうことを経験すると、必ずしも完成品で権利範囲を特定することが良いとは限らないと思うわけです.
意匠実務においても、部品と完成品という議論があります.
部品より完成品の方が高いという「常識」が、この判断を誤らせることもあります.
完成品と部品についての意匠議論は別記事でも書いているのでそちらもどうぞ.