辨太郎日誌

知財メインです

創業融資を完済して反省と希望

1000万円弱の創業融資がようやく完済した.

なぜ創業融資を実行したのか、理由は3つ.

  1. 創業融資のチャンスは創業時しかない.
  2. 融資制度を身を以て体験したかった.
  3. 本当に融資が必要なときの信用を得るため.
創業融資のチャンスは創業しかない

創業融資という名のとおり、創業融資は創業時しか受けることができない. 通常融資と何が違うのかと言えば、事業実体がなくても申請書のみで融資が実行されること. 通常融資で必要な財務諸表も不要、個人保証も不要という最初で最後の融資を体験しないこということは、事業者としては勿体ないと考えたからである.

融資制度を身を以て体験したかった

融資を受ければ利子が発生する. この利子が市場よりかなり低いのが創業融資ということを知ってしまったのがことの始まりだった.

この不思議な超低利融資の世界にはじめて気がついたとき、それが夢ではないことを確かめるいくらか資金を借りたことがあった。それがは自治体の制度支援融資で海のものとも山のものともわからない相手に最高1000万円を実質金利0.8%で貸すという制度だった。 「橘玲著 貧乏はお金持ち「軌跡のファイナンス」章」

この著書に感化された自分は、早速、創業融資を実行することにした 利用したのは日本政策金融公庫と自治体の制度融資だった. どちらの融資を利用するかは、自治体が利子補給を用意しているか否かで分かれる.

自治体の利子補給を利用できるならば、自治体の制度融資が最も低利だからだ.

自治体の利子補給を利用できなければ、金利と保証料を加えた額は公庫と差がないので(一般的に日本政策金融公庫の方が低利)、手続きが簡素で融資が迅速な日本政策金融公庫が良い.

日本政策金融公庫のメリットは、担保、連帯保証人が不要なこと、口座に制限がないこと、担保や連帯保証人を追加すれば金利の優遇があること.

利子補給が利用できない場合の自治体の制度融資は、信用保証協会と融資窓口となる金融機関が存在するため、手続きが面倒なうえ、利用する金融機関の口座しか使えないという制限がある.

日本政策金融公庫と違い、法人代表者の連帯保証、金融機関によっては担保も必要な場合もある.

日本政策金融公庫が連帯保証不要の融資を提供していることを考えると、金利のメリットがない自治体制度融資を利用する理由はない.

利子補給がないため低利というメリットはなかったが、体験と返済実績という目的達成のため、制度融資も試してみることにした. 橘著で制度融資の仕組みを理解しておいたので、銀行側の消極的な取り組みに対しても果敢に攻めることができた.

制度融資の要は、信用保証協会の担保が得られるかどうかで決まる. 金融機関は何の実績もない創業に対して融資をしたいわけではなく、制度上、仕方なく機関として手続きをするに過ぎない.保証協会の担保さえあれば何らリスクを負うことなく金融機関としての形式的な役割を担うことができる.

融資窓口として信用金庫を選んだ.この金融機関は、定期積立の契約を求め、決算ごとに財務諸表の提出を求めてきた. 定期積立は受け入れたものの、財務諸表を提出は拒否した.銀行融資なら事業状況を把握するために必要でしょうが、制度融資は銀行が返済不能リスクを負っているわけではない.財務諸表の提出が本当に必要なら一括返済する、と言ったところ、以降、提出を求められることはなくなった.制度融資であるにも関わらず、銀行融資と同じような感覚で接してくる件の信用金庫に対して、事前に制度融資の実体を理解していなかったら、心が折れていたことでしょう.

日本政策金融公庫は利子補給という制度はないもののUターン創業などにより利率優遇がある. 創業融資を申し込んでも断られるたという特許事務所もあるようだが、自分の場合は融資可能だった. 担当者によるところが大きく、特許事務所の業務の内容を理解してもらえば大丈夫なはず. 融資申し込みから審査、実行まで約2週間というスピードだった.

本当に融資が必要なときの信用を得るため

真面目なひとほど、借金を悪と考える。必要に迫られて融資を申し込むならともかく、意味もないお金を借りるなんて言語道断、というわけだ。しかしこの考え方には重大な事実誤認がある。たしかにほとんどのひとは、必要に迫られて借金をする。だがそのときには、高利貸しを除いて誰もお金を貸してはくれないのだ。 「橘玲著「貧乏はお金持ち「軌跡のファイナンス」章」」

個人の借金と事業の借金は目的が違う. 個人の借金はしないに越したことはない.しかし事業の借金は返せるときに借りておかなければならないことを知ったのである. 事業を継続していくうえで資金ショートしないという保証はない.そのときに確実に融資を実行してもらうには、過去の返済実績が物を言うのである.

借金をすることには当時はもちろん今でもとても抵抗がある. 融資残高が0になったいま、今回の融資はしなくても良かったのではないか、という悔いもある. 融資実行当時、自分のお金ではないにも関わらず、心が大きくなって散財したからである.

そうならないことを祈っているが、今回の返済実績は、次回の融資に反映される.事業ファイナンスという視点から、一つの安心を手に入れることができた、そう考えることにしている.