むかし日本のエアーで帰国したいと思い日本航空を予約したことがある.
鶴のマークの機体を想像していたのだが、ブリッジに接続されていたのはコードシェアの中国東方航空だった.
これと似たことが自動車業界でも始まっている.
輸入車を買ったと思ったら中身は日本製.
信頼性が高い日本製部品を使っているのだからそれはそれで良いのだけど、
最近はパーツ使用に収まらずシャシーも共通化している.
カルロス・ゴーンで注目された日産とルノーのアライアンスは、これに三菱が加わって、同セグメント車のシャシーは共通化され、主要パーツも共通、ボディーだけが若干違うだけ.
プジョー、シトロエン、フィアットのステランティスは、これにジープも加わり、アメ車なのに欧州車という歪なクルマができあがっている.
輸入車に乗るということは、その国の文化を日本で楽しむための簡単な方法である、とは、自動車エンジニアの水野和敏氏の名言.
最近のクルマは中身和製のなんちゃって輸入車だから、だったらわざわざ高いお金を払ってまで輸入車に乗る必要はない.
最近のクルマはどれも同じでつまらなくなったのは、アライアンス化でクルマの個性がなくなったことにも理由がある.
例えば、イタフラ車は性能や信頼性は低いのに人気がある(あった)のは、人の感性に訴えるから.
ドイツ車のように性能が高いわけでもなく、日本車のように信頼性が高いわけでもないクルマでも、それらのクルマにはないなにかを持っている.
カタログ上の数値だけで比較すれば何一つとして及第点はないにもかかわらず.
自動車産業のアライアンス化は、工業製品としては良くても嗜好品としては悪手.
悪いところを潰していく、良いところを取り入れていく、コストを削っていく、こういうことを目指していくと、どれも同じような製品ができあがる.
結局、アライアンスの規模が大きいほど、安くて信頼性の高い工業製品を作ることができる.
クルマがEV化すれば個性を発揮できるところはさらに少なくなる.
あと10年もすれば自動車業界は、3つ程度もアライアンスに収束するのだろう.