弁理士田中の知財記

by 田中智雄

発明は個性的なのに特許明細書は没個性的

先日、稚拙な特許翻訳が送られてきた. 日本特許庁に国内移行したあとに提出する翻訳文である. 最近は現地代理人が日本語の翻訳文を用意することが多く、今回も送られてきた翻訳文を提出すれば足りるはずだった. 提出するだけとは言え翻訳の抜けがないかくら…

信用取引が崩壊しつつある特許業界

売掛という日本では当たり前の商習慣 信用取引は日本以外では通用しないことはわかっているのに 外国出願人の手続きを売掛で行っている 特許業界では日本を含め世界中で信用取引が成立している珍しい世界 世界中の弁理士たちが長い時間をかけて築き上げてき…

柳川どじょうはどこへ行った

むかし行ったことがある柳川へどじょうを食べに行った. 記憶が曖昧で柳川風情がどこか忘れてしまい、ナビを頼りに市内を適当に走りようやく目的の場所にたどり着いた. よく見かける地方都市の荒廃感は柳川市も例外ではなかった. 週末にも関わらず人影はほと…

熊本の路面電車

どこへ行っても似たようなところが多い日本のなかで路面電車がある都市はそれだけで魅力的. 熊本市を走る路面電車は前回行った広島の充実した路線とは違うが、レトロ風な車両が城下町には合っている. 熊本市とここ静岡市を比較すると、政令都市、人口70万…

静岡と福岡の弁理士数が同じというのは本当か

都道府県別の弁理士数が対比された結果を見ると、弁理士数や一人当たりの便利指数は静岡と福岡でほぼ同じらしい。 todo-ran.com 静岡県民からみて福岡が競合するとというのが正直信じられなかった。 福岡は20数年前に暮らしたことがある街で、当時の記憶に…

英和翻訳を中国人が行っている

インドの代理人から日本語の翻訳文が送られてきた. 海外在中の日本人留学生が翻訳をやるという話しは聞いたことがあるし、ある程度、翻訳の経験がある日本人が特許翻訳しているのだろうと思っていたものの、中身をみると中国人が翻訳したことは一目瞭然だっ…

Faxからメールその次はチャットが主流になる

Googleのメールサーバを利用しているが、最近、セキュリティレベルを上げたらしく、メールが送れないという連絡がきている. Googleサービスは便利なのだが、無料で使える分、仕様が変わったも文句をいう立場にはない. 電話やFAXの時代を知っている身としては…

博多にオフィスを作ってみようか

上海から日本に戻るときにどこを拠点にするかかなり悩んだ. 普通に考えれば東京なのだが、また東京に戻るのか、と思うとどうも気が重かった. 上海から日本を俯瞰すると、東京にこだわる必要はないと思ったことも東京に関心が向かなかった理由の一つ. ではど…

特許業界は世界的にデフレ

例のごとく昨晩チャットが入った. てっきり出願かと思っていたらOA対応だった. さて特許なら国内代理人のサポートがあるだろうと思い願書をみると、 代理人は弁理士ではなく、アルファベット名の外国人である. どうやら特許管理人のようだ. 外国人の特許管理…

「ゆっくり茶番劇」問題を外国人に説明できない

商標問題として炎上している「ゆっくり茶番劇」 外国人に説明しようとしたのだが問題の本質がつかめずにいる. 商標問題と言うが、別に商標法に違反しているわけではない. 皆がいうように、なんとなくヤバいという感覚はあるが、その感覚を外国人が持ち合わせ…

弁理士に守秘義務が課されている理由を「ゆっくり茶番劇」事件から考えてみる

「ゆっくり茶番劇」事件で、弁理士として気になるのは、出願代理人弁理士が出した声明の内容. news.yahoo.co.jp 世間を騒がせるような事件に対して弁護士が声明を出すことは珍しくない. 一方、トラブルの当事者代理人になることが少ないこともあって、弁理士…

好きな仕事と食える仕事

世の中には、自分の好きなもので食えてる人ばかりじゃない。むしろ、好きでもないし、向いているとも思えない仕事を長い間、愚直に続けた結果、プロフェッショナルになる人の方が多いんじゃないかな。 メディコ・ペンナ 万年筆よろず相談 作者:蓮見恭子 ポプ…

中国人が和訳した翻訳が送られてきた

特許明細書の翻訳の見積の依頼があった. この世界、事務所に翻訳を依頼したら、翻訳会社に比べて高いのは当たり前なので断られることは想定済み. 翻訳の怖さという感覚を持っているのは弁理士だけだろうから、翻訳ミスの責任から開放される方がありがたい. …

インドからの依頼が中国を超えた

昨晩、チャットでインド代理人からの依頼が入った. 移行期限間際で今朝手続きを完了させた. ここの代理人は去年から取引が始まり、今年になって立て続けに依頼を頂いている. ほとんどの案件は現地の法律事務所や特許事務所からの依頼になるのだが、これまで…

老洋机とお別れ

上海から静岡に戻ってきたときに買った事務机. 和洋折衷の雰囲気が気に入って神戸から取り寄せたもの. なんでも神戸の洋館の蔵出しだとか. 上海フランス租界エリアには雰囲気のよい喫茶店があり、こんな感じのテーブルでノマドワークをするのが好きだった. …

インド代理人から深夜のチャット

23時、そろそろ寝ようかと思ったときチャットにメッセージが入った. こんな時間にメールではなくチャットを送ってくるからには何かトラブルがあったのだろうか. 恐る恐るチャットを見てみると、明日中に出願して欲しいという内容が目に入った. WIPOで書誌…

Made in上海の万年筆

中華製の万年筆の評判がいいので買ってみた. 有名ブランドから製造委託された中国の工場が、技術力を身につけて、自社ブランドとして、低価格高品質の製品を自社ブランドとして市場に出すという流れは万年筆の世界でも例外ではないらしい. 海外向けに製造し…

三度目の万年筆に挑戦

三度目の万年筆に挑戦しているところである. 一度目は、弁理士論文試験で使うためのもの. 二度目は、外国代理人のレターにサインするときに使うもの. 当時、論文試験に万年筆を使う受験生が少なくなかった. 理由は、字が綺麗に見えることだったと思う. 使う…

事務所のカスペルスキー

数日前から更新期限のポップアップが忙しなく表示されるカスペルスキー. 何事もなければ更新を躊躇う理由はないのだが、今回はカスペルスキーの出自を知ってしまった以上、更新するという選択肢は難しい. これまでウイルスソフトがどこの国のものかを調べた…

ラマダンは期限徒過の理由になるのだろうか

昨日、インドの代理人に送ったリマインダに対する返事を読んで口元が緩んでしまった. 回答が遅れてしまい申し訳ない クライアントがラマダン中で連絡を取ることができない とりあえず手続きを進めてくれ というのがメールの内容だった. 遅れた理由をあえて書…

署名用のボールペンを新調

特許庁へ提出する委任状は押印不要になり、押印文化がない外国企業からもらう委任状にも署名が不要になった. ところが日々の生活では至るところで署名を求められる. 署名を要求されれば従うしかないのだが、問題はそのときに使うペン. 消毒済みペンを用意し…

デザイン買いしたペンケース

ペンケースを買い替えてみた. いま使っているモノが壊れたわけではなく、ただ単にデザインに惚れたというのが理由. ペンケースという機能を満たすための形状はほぼ決め打ちされているから、結果としてどれも同じようなデザインにならざるを得ない. 開口部を…

真夜中のSOS

インドの代理人からメッセージが入った. 出願却下の通知をしたあと、なぜか執拗に回復できないかという連絡が入るようになった案件. 審査官とも対応策を相談し、回復させる手段はないと伝えて納得したと思っていたが、昨日はついにhelp meというビジネスでは…

売掛けが蓄積されていく

外国案件を受けるのは嬉しいが、支払われるまでに費やす労力が大きい. いま抱えている最長の未払い金は4ヶ月. 支払いサイトを1ヶ月に指定していても、期限内に払ってくれる代理人は半分程度だろうか. リマインダーでしようやく対応してくれる代理人や、そ…

功名の木登り

バイデン大統領が演説の終わりに口を滑らせたことが問題になっている. news.yahoo.co.jp こんな立派な人でも気が緩むことがあるのだから自分のような凡人が口を滑らせるのも当然なのだが... 失敗その1 上海で働き始めたばかりの頃、知り合いの中国人弁護士…

タイピングフィーを知らない世代

取引先の中国代理人からチャットが入った. 日本のプラクティスで疑問があったときに質問をいただく. 今回の質問は「タイピングフィー」だ. 新規取引先の日本の事務所からタイピングフィーをチャージされたらしく、 「タイピングフィー」とは一体何か?という…

住所の表記違いで別出願人扱い

同じ出願人が登録した商標が引用された. なんで出願人が同じなのに4条1項11号なのかと思いながら拒絶理由を見ると、住所表記が違うので同一出願人とは見做さない、となっていた 引用された商標は国際商標だったので、WIPOデータベースで確かめたところ、…

銀行口座の断捨離

事務所を立ち上げたタイミングで開設した口座の解約を済ませてきた. 口座開設のときはもちろんメイン口座だったのだが、ご縁がなかったようで、数年前から休眠口座になっていた. 解約手続きを待っている間に、行内の様子を眺めなら、当時のことを思い起こし…

コロナで銀行が営業停止の上海

上海の代理人から送金の連絡があったがしばらくしても送金されない. メールを送ってみたところ、 銀行近くでコロナ感染者が出たから銀行が営業停止してしまい、 送金処理ができない という回答だった. 中国は本当に思い切ったことをする国というのは知ってい…

特許庁から発送した登録証が中国の出願人に届いていないという

日本特許庁の暫定拒絶に応答してほしいという中国代理人からの依頼があったのが半年前. 費用をかけたくないということだったので、OAだけのワンタイム代理で引き受けることにした. この場合、登録料納付、商標登録証の受け取りは行わず、中国側で対応するこ…