辨太郎日誌

特許・商標・意匠・著作権などなど知財を絡めて

依頼者に育ててもらう弁理士

中国の商標DBの調子が悪いので現地代理人に調べてもらった.

そのあとの世間ばなしで、どうかしたんですか?と聞かれたので、

状況を簡単に説明したところ、

エッ、先生、そんなことも知らないのですか?

と驚かれた.

 

中国には著名商標と馳名商標を保護するための独特な制度があるのだが、

どうもその運用が廃止されたらしい、という情報であった.

漢字だけを見ると、日本の著名商標と混同するので、英語の方が分かりやすい.

famousが前者でwell knownが後者日本だと周知、著名で区別される.

 

著名商標については、地方政府が認定するので、なんでこれが著名なの?という商標が多数ある.

地方政府がやることなので、当然、裏もあり.

登録商標なら調べやすいが、著名商標は調べようがなく、やっかいなのである.

 

そんな問題の著名商標を廃止したという情報に救われた.

 

利害関係者から著名商標を抗弁された手続きのリベンジを考えていたので、とてもありがたい情報であった.

 

この手続きが依頼されなかったら、この情報の有り難みを感じることもなかっただろう.

仕事を頂いて実務能力もアップという一石二鳥.

依頼者に育てられるということに改めて感謝しなければならない.

何を言うか、誰が言うか、やっぱり何を言うかが大切

富士山の頂上は何県?

静岡県出身の自分に振られた突然の質問に両県折半と反射してしまった.

 

県外の人からみれば、静岡のことに詳しいと思っているはずで、その人が言うのだから本当だろうというバイアスがかかる.

 

実は富士山の頂上は私有地.

両県の話し合いで県境を設定せずに今に至ったいる.

 

何を言うか、より誰が言うか、が重要というが、今回の件は、それは違うという見本.

「専門家」が言ったからと言って、それが全て正しいというわけではない.

 

それにしても、こんな簡単なミスを犯してしまった自分が情けない.

 

MT車こそ改良の余地あり

MT車に乗って一週間.

ベースが貨物車なので、回転を上げずにすぐにクラッチをつなぐのがいいみたい.

どうも回転を上げてからクラッチをつなぐクセがついてしまっているので、クラッチをつないだ途端に急発進してしまうことがあり、ちょっと慣れが必要.

 

昔のように回転を上げなくてもクラッチをつなぐことができるなら、これを発展させれば半クラを省略して直接クラッチがつながるようにすることも可能なはず.

 

シフトアップするためにクラッチを切るという操作は通常走行では要らないが、誤操作がおこったときに、この操作を介在させることで、ロケットスタートしてしまう暴走を回避することができるはず.

 

自動でシフトアップしてしまうシステムは、人がパニックになったときは、とても危ない.

中国は不動産を所有できないから日本の不動産は人気というけど実態は中国と同じ使用権

中国は不動産を所有できないから日本の不動産が売れると言われている.

中国の場合、70年の土地の使用権を買うという制度.

だからと言って、70年経ったら土地を国家に返すのかというと、そんなことはない.

土地の税金にしても、すべての地域で税金が課されれているわけではないらしい.

 

翻って日本の場合、不動産を所有できるとはいえ、税金を払わなければ没収される.

なんのことはない、所有できると言っておきながら、所有するためには、毎年、税金を払っているのだから、中国の制度と実質同じではないか.

 

税金を払うことが当たり前と思っているけど、よくよく考えてみると、なんで?と思うことが多い.

 

それにしても、所得税の支払いが終わったと思ったら、固定資産税に自動車税.

しかも期限の2週間前に通知が届くというという殿様請求.

払えるときはいいけど、老後はどうなるのだろう、と心配になる.

 

無謀な即独を選ぶ勇気

弁理士に限らず即独をする人が一定数いる.

弁理士以外の事情はわからないので、弁理士の即独についてちょっと一言.

 

即独をしていない自分の意見は即独は不可能.

弁理士試験は実務家登用試験とはいうものの実務とはほぼ関係が試験である.

もっとも、ここで言う「実務」とは、期限管理やPCT・マドプロを使いこなすということではなく、特許明細書を書くということである.

 

日本語で文章を書くのだから簡単だろうと思っている人もいるが、そんな簡単に明細書が書けるようにはならない.

どんな人でも、もしその人が特許事務所に入れば、コテンパンに添削される.

特許実務は、発明者とのコミュニケーション、発明の特定、文章化に始まり、中間処理など、これらは試験で測ることができない.

そして、センスも影響し、これも試験では測ることができない.

 

それでも即独がいるのは一体どういうことか.

実体を知らないから恐れようがないのだろう.

そして即独を目指す弁理士だから、強靭なメンタルとハングリー精神も備えているのだろう.

自分は経験しなかった即独という生き方を尊敬したい.

銀座なのにクレカが使えない店がある

久しぶりの東京出張.

時間つぶしに銀座を歩いてみた.

聞こえてくるのは中国語ばかりなのは相変わらずだったけど

観光バスで乗り付ける団体客ではなく個人旅行者が目についた.

買い物袋を両手に下げて歩く人は過去の風物詩.

 

欧米人も多く、さながら銀座というより尖沙咀のようだった.

これでインド系が増えれば香港そのものだ.

 

さて、そんななかでたまたま入った一件のカレー店.

食あたりがない(だろう)という安心と、スパイスが体に良さそうで、少食でも食べれてしまう、ので、最近は迷ったらカレーを食べることにしている.

 

銀座のど真ん中で営業しているカレー店の、店長はネパール?スリランカ?系のあっちの人.

実は、こういう店はとても苦手.

なぜかと言うと、言動がつっけんどうだから.

コンビニならほんの数秒間のやりとりだから我慢できても、食事の場合は、数十分は空間をともにしなければならない.

たどたどしいだけならいいが、通じたのか通じてないのかわからず、無愛想なやる気のなさそうな態度が大の苦手なのである.

 

料理はまあまあ、さて最後の支払いでカードが使えないと突っぱねられた.

レジに書いてあると言いたげに指を指す.

レジに書くのではなく、入口の分かりやすいところ、メニューに大きく書いておいてくれと、声を大にして言いたい.

だいたい世界中の観光客がやってくる銀座の一等地で商売するのに、クレカお断りとはどういうつもりなのだろう.

お客さんは日本人だけではないだろう銀座、トラブルにならないのが不思議だ.

 

小池都知事どの、せめて銀座ぐらい、条例でクレカ使用を強制した方がいい.

自分なりのアクセルブレーキの踏み間違い対策

思うところがあってMT車に代えてみた.

実に30年ぶりのMT車.

ディーラから無事に出庫できるかと心配したが、体はしっかり覚えていた.

いまのMT車は当時に比べればかなり楽になっている気がする.

当時のエンジン、低速トルクがないので半クラを長めにしていた記憶がある.

その点、いまのエンジンは低速トルクも十分なので、アイドリング回転程度でもクラッチをつなぐことができる.

 

アクセルとペダルの踏み間違い事故が連日のように報道されているのを見ながら、自分もいつそのような間違えを起こしてもおかしくないので決して人ごとではない.

 

クルマが好きではない人にとって、いまさらMTに乗り換えるなど非現実的な選択である.

実際に乗ってみると改めてATの簡単さを認識する.

しかし、どんなに安全装置を進歩させても、この究極のフェールセーフ設計は、最高の安全装置であることに間違いない.

 

人を守るはずの技術が人を殺める方向に進歩している自動車設計は、一度、振り出しに戻った方がいい.

 

いま自分でできる踏み間違い対策はMTに乗ることしかない.

実務ができるのは当たり前、どうやって差別化するのか

久しぶりに琴線に触れた書籍にめぐり逢った.

普通ならスルーしてしまうようなタイトルなのに、なぜか虫の知らせがありました.

マーケティング特有の市場の定義が目に入ったとき、またこの話かと思いながら読み進めていくと、「価値の4象限」という聞き慣れない言葉が目に入った.

実利・保証・評判・共感という切り口で「価値」を提供するというフレームワークが、弁理士のマーケティングを考えるときに役に立つ.

 

弁理士に限らず専門家という人たちは、実利価値は提供できて当たり前、同じ実利価値なら国家資格者が提供していれば保証価値も提供できる.

士業は、誰もが実利価値と保証価値を提供できているわけだから、これだけで差別化を図ることはできない.

そんなことは分かっているけど、自分を含め多くの弁理士が、実利価値を最大化するための努力をしている.

 

一方でSNSで炎上気味の士業も最近はいる.

この類の人たち、自分には大言壮語な振る舞いにしか見えず、品位を落としているとしか思えなかった.

「かった」と過去形にしているのは、いまは考えが変わったのだ.

価値の4象限というフレームワークから分析すると、この方たちは、しっかりマーケティングをしているのである.

 

専門家を選ぶ基準が実利ではないことは興味深い.

そもそも実利で選びたくても、それを判断することなんてできない.

実利以外のもっと分かりやすい価値を提供している専門家が選ばれる.

いや〜マーケティングとは奥が深い.