辨太郎日誌

特許・商標・意匠・著作権などなど知財を絡めて

いまさらですが五輪エンブレム問題

タイトルが気になって入手してみました。

著作権が専門の法律家や実務家の書いた本の多くが法律斯く斯く然々という調子ですが、この本は法律を直接論じるものではありません。

まだ全部を読んだわけではありませんが、五輪エンブレム問題の書き下しのところは、この問題が著作権や商標権の知的財産実務の問題というより、ネットの怖さや組織委員会の運営にスポットを当てて解説しています。

五輪エンブレム問題を突っ込んで分析したことがなく、知的財産プロパーの問題かと当初は思っていたのですが、いまさらですが、本当の問題はそこではないことを知りました。

この本をネタにセミナをしてみたくなりました。

この本の副次的な収穫ですが、意見書や鑑定書で使えそうな言い回しが所々に散りばめられているところです。

いわよる特許が専門の弁理士の場合、意見書や鑑定書の中身が技術論に固執しがちで、理系以外の人の琴線に触れるような文章ではないのですが、特に鑑定書となると読者は理系人とは限りません。

訴訟でいえば専門外の陪審員の心をいかに掴むかが重要なように、知財専門以外の人をも納得させる文章を書くことも必要になります。

今日もいい「仕入れ」ができました。