辨太郎日誌

特許・商標・意匠・著作権などなど知財を絡めて

事務所のカスペルスキー

数日前から更新期限のポップアップが忙しなく表示されるカスペルスキー.

何事もなければ更新を躊躇う理由はないのだが、今回はカスペルスキーの出自を知ってしまった以上、更新するという選択肢は難しい.

これまでウイルスソフトがどこの国のものかを調べたことはなく、カスペルスキーがロシア製ということも今回の事件で初めて知った.

nordot.app

いままで考えたことはないが、ウイルスソフトがどれほど効果があるのかという検証は難しい.

バックグランドで情報を放出していてもわからないだろう.

ウイルスソフトの必要性については、マシン自体がウイルス対策をするようになってから、低くなっている.

 

個人が反旗を翻す方法の一つとして更新は見送ることになるだろう.

ラマダンは期限徒過の理由になるのだろうか

昨日、インドの代理人に送ったリマインダに対する返事を読んで口元が緩んでしまった.

 

回答が遅れてしまい申し訳ない

クライアントがラマダン中で連絡を取ることができない

とりあえず手続きを進めてくれ

というのがメールの内容だった.

 

遅れた理由をあえて書いてくるところに担当者の人柄のようなものを感じる.

 

他の代理人の前回の期限徒過に対する理由はコロナウイルスだったのだが、

これは特許庁も認めている正当な理由.

コロナ、と書けば、特にそれを立証する証拠の提出までは求めていない.

 

ラマダンはどう扱われるのか気になる.

もし証拠を出すとすれば、

該当期間がラマダン中であることを示さなければならないだろう.

今年のラマダンを調べてみると、

4月2日頃に始まるようだ.

 

たしかに、応答期限はラマダン中だが、特許庁が書面を発行したのはラマダンのはるか前だから、これは理由としては弱そうだ.

 

いざとなったら使える理由は何でも使うことになるのだが、

今回の応答期限は落とさずに済みそうだ.

 

署名用のボールペンを新調

特許庁へ提出する委任状は押印不要になり、押印文化がない外国企業からもらう委任状にも署名が不要になった.

ところが日々の生活では至るところで署名を求められる.

署名を要求されれば従うしかないのだが、問題はそのときに使うペン.

 

消毒済みペンを用意しているところもあるのが、ほとんどが使いまわし.

平常時なら気にしないことでも、消毒の習慣が数年も続くと、使いまわしのペンを使うの躊躇う.

 

普段、外国代理人に送るレターの署名には万年筆を使うが、外出時の簡易な署名には少し大袈裟.

オフィスを見回したが適当なボールペンがないことに気がつく.

ペンで何かを書くという作業がないに等しく、アイデア出しに使う落書きレベルの筆記は鉛筆を使っている.

 

機能よりデザイン優先で選んでみた.

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どれも同じようなボールペンでは使いたいというモチベーションに欠けるが、これなら署名したいという気がする.

早速、EMSを出すときに署名してみたところ、小型で軽いということもあり、ササッとペンを動かすには丁度よかった.

 

デザイン買いしたペンケース

ペンケースを買い替えてみた.

いま使っているモノが壊れたわけではなく、ただ単にデザインに惚れたというのが理由.

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ペンケースという機能を満たすための形状はほぼ決め打ちされているから、結果としてどれも同じようなデザインにならざるを得ない.

開口部をファスナーで封じるボックス型が一般的.

 

これはこれでいいのだが、ファスナーという道具を使わないロール型のペンケースが好きということもあり、今回買ったものもロール型.

ロール型のペンケースと言えば、内部のポケットにペンを収容するタイプが典型的な構造.

ボックス型のように収容部をきっちりと区画し難いでから、巻いたときにペンが落ちないようにポケットにペンを収容せざるを得ない.

 

ところが、このペンケース、内部はボックス型のペンケースと同じような収納空間が設けられている.

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両側の仕切りと下端とで収納空間を形成.

この状態で巻くと上端が被さって見事ペンを零さずに収納できるという構造.

 

革製品の品質といえば、なめしやコバ仕上げなど細部の作り込みで評価されるのが一般的.

ノーブランドでは差別化が難しく、結局、商標を付けて差別化をしているというのがほとんどだろう.

穿った見方をすれば、商標があるかないかの違いだけで品質自体はどれも高いレベルにあるということになる.

 

今回買ったペンケースは、従来基準の品質に問題はないのは当然、その構造で差別化したという知財のお手本のような製品.

 

一体どんな人が創ったのだろうと思い調べてみると、どうやら建築士の設計らしい.

道理で計算尽くされた構造なわけである.

当然、意匠登録もあるのだろうと思い調べてみたが、それは見つけられなかった.

 

エムピウというブランド名であることをあとで知ったのだが、エムピウ製品の旗艦製品は財布らしい.

財布もなかなか計算し尽くされた設計だが、想定年齢から外れているように思うのでそちらは眺めるだけにしておく.

真夜中のSOS

インドの代理人からメッセージが入った.

出願却下の通知をしたあと、なぜか執拗に回復できないかという連絡が入るようになった案件.

審査官とも対応策を相談し、回復させる手段はないと伝えて納得したと思っていたが、昨日はついにhelp meというビジネスでは使わないような悲壮なメッセージが送られてきた.

 

出願却下はいくつもの段階を経た最終処分であって、却下の前にも弁明書提出の機会が与えられている.

通知が送られてくる度に現地に報告をしていたものの全く応答がなく、今回の最終処分に至ったというのが経緯である.

 

アクションを起こすことができる時期はいくつもあったのに、それらの救済機会を全て無視し、最終処分が出た途端に何とかしてくれと言われても打つ手はない.

 

推測の域を出ないが、今回の出願却下の理由は現地代理人側にあるのではないだろうか.

冷静な立場で対応を検討するすべき立場の代理人が、ここまで慌てているのは尋常ではない.

 

コロナを理由に何とかならないか?とも打診されたが、後の祭りである.

売掛けが蓄積されていく

外国案件を受けるのは嬉しいが、支払われるまでに費やす労力が大きい.

いま抱えている最長の未払い金は4ヶ月.

支払いサイトを1ヶ月に指定していても、期限内に払ってくれる代理人は半分程度だろうか.

リマインダーでしようやく対応してくれる代理人や、それでも無視し続ける代理人.

回収できなかったときのことを考えると胃が痛い.

特許事務所の場合、特許印紙の立替金があるので、回収できないと仕事をしたにもかかわらず損をすることになる.

 

今日、事業復活支援金が振り込まれていた.

申請してから一週間という早さは想像以上.

税務署の還付より早いとは思わなかった.

申請手続きは前回に比べて複雑になった気もするが、

振込までの時間は前回よりはるかに早い.

 

手続きが複雑になれば申請のミスも多いはず.

前回は給付までの時間が長いというクレームが多かったようだが、

今回はそのような声は聞こえてこない.

申請に関わっている人たちの労力は想像以上だろう.

功名の木登り

バイデン大統領が演説の終わりに口を滑らせたことが問題になっている.

news.yahoo.co.jp

こんな立派な人でも気が緩むことがあるのだから自分のような凡人が口を滑らせるのも当然なのだが...

 

失敗その1

 

上海で働き始めたばかりの頃、知り合いの中国人弁護士から講演の依頼があった.

一週間前というタイミングだったことからすると、誰かのキャンセルでその代役だったのだろう.

演目は任せると言われ、法務関係なら何でもいいということだった.

参加する人の素性を聞いてみると、上海で法務関係の仕事をしている日本人.

それだけを聞いて当日の講演を行った.

専門家でなくても聞きやすい著作権について話すこと2時間.

時間配分もほぼ完璧で終盤に向かい、最後の一言で口を滑らせた.

「著作権について相談するなら弁護士より弁理士の方がいい」

 

講演の後の懇親会で名刺交換をして心臓が止まりそうになった.

ほとんどが日本人弁護士だった.

 

法務関係の仕事をしている人たち、というのは企業で法務関係の仕事をしている人ではなく、弁護士のことだったのである.

2010年代初めの上海には四大事務所の駐在事務所が揃い、その他にも、多くの日本人弁護士が現地の法律事務所にトレイニーとして参加しており、数十人規模の日本人弁護士が上海にいた時代である.

冷静に考えてみれば、企業法務部の人間が海外に駐在するわけもなく、現地法人に法務部があるはずもなかった.

上海に来たばかりの自分は、そのような思慮ができず、法務関係の人と聞いて、てっきり法務部の人たちのことだと思い込んでしまった.

懇親会の一時間は食事を楽しむ気にはなれなかったのは言うまでもない.

 

失敗その2

教師の研修会で著作権の講義をして欲しいという依頼があった.

週末に行われ、かつ講演料も安かったので、他に引き受ける人がいないから、という理由で自分に連絡があったのだ.

そんな裏事情を言わなくてもいいのにと思いながら、今後の糧になるかと思い依頼を引き受けた.

上海から静岡に戻ってきて1年目くらいのときだった.

 

質疑応答が早めに終わり、残り数分を残して気が緩んだのか余計なことを口にした.

聞いた頂いた先生方はどう受け取ったかわからないが、自分としては落第的な終わり方だった.

 

レクチャも何度も経験すると当初のような緊張感がなくなる.

それは結果として余計な一言につながるというのがこれまでの経験.

 

徒然草に「功名の木登り」という話しがあったが、的を得たりである.

住所の表記違いで別出願人扱い

同じ出願人が登録した商標が引用された.

なんで出願人が同じなのに4条1項11号なのかと思いながら拒絶理由を見ると、住所表記が違うので同一出願人とは見做さない、となっていた

引用された商標は国際商標だったので、WIPOデータベースで確かめたところ、州の表記が国際商標にはあった.

現地からの指示書を確認したところ、指示書には州の表記がなかった.

こちらのミスではないことがわかって一安心.

州の表記がないだけでも別出願人と扱われるのかどうを審査官に確かめてところ、審査便覧には州表記の有無で同一扱いにするとの記載がないと指摘された.

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/binran/document/index/42_111_01.pdf

 

なせ食い下がったのかというと、すでに同じ出願人の他の出願が登録査定になってしまい補正ができないからである.

住所の表示変更をすると印紙代がかかるし委任状も必要になるので、複雑化を避ける方法はないかと相談してみたが撃沈された.

 

今回の件で、出願人情報を正確に知らせる必要があることを改めて思い知らされた.

社名は意識していても、住所表記、英文にするので曖昧になりがちなのだが、過去の出願と異なる住所を使ってしまことは代理人が違ったりすればかんたんに起きてしまう.