辨太郎日誌

特許・商標・意匠・著作権などなど知財を絡めて

静岡と福岡の弁理士数が同じというのは本当か

都道府県別の弁理士数が対比された結果を見ると、弁理士数や一人当たりの便利指数は静岡と福岡でほぼ同じらしい。

todo-ran.com

静岡県民からみて福岡が競合するとというのが正直信じられなかった。

福岡は20数年前に暮らしたことがある街で、当時の記憶に基づくなら静岡は全く歯が立たないはず.

静岡は、浜松、静岡、沼津・三島と都市が分散しているのに対して、福岡は福岡市に都市機能が集中していることも、都市効率という点では分が悪い.

 

上海にいたころ、日本を俯瞰すると福岡は東京よりも魅力的に映っていたこともあり、福岡は気になる街でもあった.

そんな福岡に出張に行ってきたのだが、予想通りというか、予想以上に静岡とは比べること自体が不自然なほど引き離されていた.

 

そんな福岡の弁理士数がなぜ静岡と同じなのか.

おそらくは静岡の「弁理士数」はインハウスが多く、福岡のそれはアウトソースが多いのではないだろうか.

静岡はそれなりに規模の企業が集積しており、当然、インハウス弁理士も多い.

福岡は商業の街であり、アウトソース弁理士の割合が多いだろう.

 

今回の出張の目的の1つは、福岡の拠点設置に向けた市場調査.

流行りの移住ではないが肌に合うことは確認できた.

テスト事務所を設置してクライアントを獲得し是非本格化させたい.

英和翻訳を中国人が行っている

インドの代理人から日本語の翻訳文が送られてきた.

海外在中の日本人留学生が翻訳をやるという話しは聞いたことがあるし、ある程度、翻訳の経験がある日本人が特許翻訳しているのだろうと思っていたものの、中身をみると中国人が翻訳したことは一目瞭然だった.

それでも特許翻訳になっていれば良いのだが、特許翻訳をしたことがないこともすぐにわかるほどのひどい翻訳だった.

インド人から見れば、同じ漢字を使う国という程度で翻訳費用が安い中国企業に頼んだことは想像に難くない.

こちらが翻訳にタッチしないとはいえ、OAで苦労するのはこちらなので、翻訳の問題を正直にぶつけてみた.

その後、改めて翻訳費用の交渉を行ったものの、中国の翻訳会社が提示しているレートがUSD5/100words.

日本の翻訳会社の相場の1/3から1/4といったところだろうか.

中国側からすれば、インド人が日本語のチェックをすることはないと思って、無茶な翻訳を引き受けたのかもしれない.

一度、翻訳で痛い目に合った方がいいと思うのだが、翻訳が悪いことがわかっていながら、なぜ翻訳文を提出したのか、と責任転嫁されても困る.

Faxからメールその次はチャットが主流になる

Googleのメールサーバを利用しているが、最近、セキュリティレベルを上げたらしく、メールが送れないという連絡がきている.

Googleサービスは便利なのだが、無料で使える分、仕様が変わったも文句をいう立場にはない.

 電話やFAXの時代を知っている身としてはメールはとても便利.

とはいえ、そのメールもそろそろ次のツールに代わるときかもしれない.

 

最近は行政サービスもLINEを使っているそうだが、自分は全く無縁.

コミュニケーションツールとしてLINEがデファクトになるなら、そのときは仕方なく使うことになるだろう.

internet.watch.impress.co.jp

 

さて、数年前から海外とのコレポンに使っているチャットツール.

何種類かのチャットを使っていて、中国用には定番のWechatを使っている.

これはとても便利で今では、メールと併用、またはチャットの方が使用頻度が高い.

 

チャットツールのよいところは、無料通話ができることや、設定が簡単、そしてチャットが届かないというトラブルがないこと.

メールはビジネス様式で書かなければならないのに対して、チャットは口語で書くことができる.

非ネイティブとしては、文法などを気にせずに、単語をメインに並べて行けばいいという気楽さがある.

日本のクライアントとのコミュニケーションをチャットでやるにはまだ時期尚早だが、海外はすでにデファクトになっている.

博多にオフィスを作ってみようか

上海から日本に戻るときにどこを拠点にするかかなり悩んだ.

普通に考えれば東京なのだが、また東京に戻るのか、と思うとどうも気が重かった.

上海から日本を俯瞰すると、東京にこだわる必要はないと思ったことも東京に関心が向かなかった理由の一つ.

ではどこにするか.

大阪で1年、名古屋で1年、仕事をしたことがあるが、ここで仕事がしたい、という感じではなかった.

上海の人混みに疲れたこともあり、札幌も考えたが、北海道にすら行ったことがなく、寒さにめっぽう弱いので、これも却下.

実は30歳くらいのときにしばらく福岡で暮らしたことがあった.

初めて関門海峡を渡ったとき、交通標識のトップが英語ではなくハングルだったことに驚いた.

博多から東京を見るより韓国の圧倒的に近い.

初めて韓国に行ったのもこのときだった.

中洲や天神を闊歩したり、クルマで佐賀、大分、熊本を巡ったり、なぜか刺し身が美味しかったりで、結構気に入っていた.

 

結局、無難な地元静岡を選んだのだが、あれから数年、やっぱり福岡が気になる.

とはいえ、静岡と福岡、簡単に行き来できるような距離ではない.

週末、いやまずは月末博多を試して見ようかと考えている.

 

特許業界は世界的にデフレ

例のごとく昨晩チャットが入った.

てっきり出願かと思っていたらOA対応だった.

さて特許なら国内代理人のサポートがあるだろうと思い願書をみると、

代理人は弁理士ではなく、アルファベット名の外国人である.

どうやら特許管理人のようだ.

 

外国人の特許管理人が、なぜオンライン出願ができるのだろう.

識別番号も付与されていて、継続的に管理行為をしている.

これは非弁ではないのだろうか、と思いながら拒絶理由を俯瞰した.

 

コストが知りたいというので、アワリーチャージで対応したい旨を伝えると、

フィックスで対応できないかという.

 

すべてのクレームに拒絶理由があり明細書不備もあった.

どのくらいの難易度かをすぐに判断できるわけもなく、ミニマムチャージを伝えたところ、

正確なコストを教えてくれという.

 

気持ちはわからなくはないが、検討するには時間がかかり、検討すれば検討料が発生する.

いざ検討して依頼されないのでは話しにならないので、ミニマムチャージを受け入れるか?と再度投げかけるも、正確なコストを知りたいという.

検討すれば費用が発生し、検討前に費用を知りたい、まさに鶏と卵である.

 

出願時からの代理人であれば、OAの検討をしても良いとは思う.

(もっともアメリカ代理人ならそんなことはありえないのだが)

 

しかし中途受任ならそうはいかない.

費用を抑えたつもりが結果的に高くなる不利益は受け入れてもらいたい.

 

結局、依頼されることはなかったが、原因はコストである.

特許の中途受任で意見補正が必要となれば、それなりの費用になる.

日本だけが価格破壊が起きているなら外内案件なら世界基準でチャージできるのかと言えば、そうはならない.

この業界、ワールドワイドでデフレのようである.

 

「ゆっくり茶番劇」問題を外国人に説明できない

商標問題として炎上している「ゆっくり茶番劇」

外国人に説明しようとしたのだが問題の本質がつかめずにいる.

商標問題と言うが、別に商標法に違反しているわけではない.

皆がいうように、なんとなくヤバいという感覚はあるが、その感覚を外国人が持ち合わせているとは限らない.

法律上の問題点や契約上の問題点があるのかについても検索してみたが、問題点を具体的に指摘しているものは見つからない.

契約上問題があるという指摘を見つけたが、具体的にどの条項に反するのかというレベルではなく、違反するとすればこの条項だろうというレベルである.

 

同じ時期に発生した誤送金問題は、逮捕されるに至っており、逮捕理由は、電子計算機使用詐欺.

こちらは民事上も刑事上もルール違反であることが分かりやすい.

 

「ゆっくり茶番劇」はモラルの問題だ、という指摘があるが、外国人に「モラル」の問題と説明しても理解されるわけがない.

まず「モラル」を説明してみて、その「モラル」の感覚が外国人と一致しているならよいが、一致しない場合は、どうやって理解してもらえば良いのだろうか.

 

「ゆっくり茶番劇」の当事者がもしも外国人だったら、ここまで炎上しただろうか.

中国で日本のネーミングが商標登録されてしまうことについて、モラルがない、という理由で攻めていたが、それと同じことなのか.

中国の代理人いわく、中国にはいろんな人がいるけど、別に法律に違反しているわけではない.

とても簡単な説明である.

日本でこの説明をすると、「法律に違反していないなら何をしても良いのか!!」、という反論がくる.

弁理士に守秘義務が課されている理由を「ゆっくり茶番劇」事件から考えてみる

「ゆっくり茶番劇」事件で、弁理士として気になるのは、出願代理人弁理士が出した声明の内容.

news.yahoo.co.jp

世間を騒がせるような事件に対して弁護士が声明を出すことは珍しくない.

一方、トラブルの当事者代理人になることが少ないこともあって、弁理士が声明を出すというのは極めて珍しい.

 

ちょうど同じ時期に給付金の不返還について弁護士が声明を出している.

www.47news.jp

 

商標出願代理人弁理士の声明と比較して何が違うのかと言えば、弁護士の声明は依頼者側の代弁をしているのに対して、弁理士の声明は、果たして依頼者側に立っているのか?ということである.

 

今回の弁理士の声明に対して世間一般では好意的に受け取られている.

しかし代理人として振る舞うのであれば、給付金弁護士のような内容になり、それに対して世間から総スカンされても職業上仕方がない.

 

100%依頼者の利益のために尽くすのが職業代理人であり、そのために依頼者の不利益になることについて口外しないという守秘義務が課されているのである.

依頼者の代理人が依頼者以外の正義のために依頼者の不利益になるようなことを口外してしまうのであれば職業代理人は務まらない.

 

爆破予告等、弁理士の精神状態も通常ではなかっただろうし、早くこの騒ぎを収束させたいという思いから声明を出したのだろう.

代理人になるということの責任について考えさせられた今回の商標騒動だった.

 

インドからの依頼が中国を超えた

昨晩、チャットでインド代理人からの依頼が入った.

移行期限間際で今朝手続きを完了させた.

 

ここの代理人は去年から取引が始まり、今年になって立て続けに依頼を頂いている.

ほとんどの案件は現地の法律事務所や特許事務所からの依頼になるのだが、これまでのコレポンからコンサルティング会社だろうということが想像できる.

法律事務所等からのコレポンと違ってメールの署名が不十分だったりと若干リーガルな部分が気になる.

しかし、こここのエージェントは先払いなのが嬉しい.

未払い金の管理は精神的にも悪く、何度リマインダーを送っても返事がないところもあるエージェントに比べれば、多少のイレギュラーなコレポンは帳消しになる.

 

中国からの依頼が圧倒的に多かったのだが、一昨年あたりからインドとの取引がはじまり、今年は過半数がインド案件になった.

ジュガールが話題になるインド人、たしかに中国人よりも強力である.

国際会議では、インド人を黙らせることと、日本人を喋らせることが、議長の腕の見せ所と言われるように、インド案件の要求はときに滅入ることもある.